外夷がいい)” の例文
遠い上古、神功皇后じんぐうこうごうさまの挙を今日よりしのび奉っても、あの前後からすでにいかにこの国をおかさんとする外夷がいいがあったか思いやられようが。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
世が世なら、善三郎は無礼な外夷がいいを打ち懲らしたものとして、むしろおめにも預かるべき武士だと言うものがある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「一日の苟安こうあんは、数百年の大患なり、いたずら姑息こそく以て処せば、その我を軽侮するもの、に独り露人のみならん。四方の外夷がいい、我に意あるもの、くびすを接して起らん」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「台所喧嘩、よい程に、やめんか。——今はそんな場合じゃない。外夷がいい内憂ないゆうと、日本は、重大なときだ」
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
外夷がいい腥膻せいせんの気をして神国を汚さしむるなかれとは、これ思想の伴念において、必然の結果なればなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
それまで大山大川なぞも親しくは叡覧えいらんのなかったのに、初めて淀川よどがわ滔々とうとうと流るるのを御覧になって、さまざまのことをおぼし召され、外夷がいい親征なぞの御艱難ごかんなんはいうまでもなく
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
宮様御降嫁の当時から外夷がいい防禦ぼうぎょを誓い、諸外国と取り結んだ条約を引きもどすか、無法な侵入者を征伐するか、いずれかを選んで叡慮えいりょを安んずるであろうとの言質げんちが与えてある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
右作、「狂夫之言」あるいは「時勢論」と題号し、主家または右京家等へ差出し、こと墨夷ぼくい仮条約御渡し相成り御老中方御上京これ有る趣き承り、右は外夷がいい御処置ぶりの儀と相察し
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
かつての応仁前後、建武正平の頃、鎌倉期、遠くは上世の応神、推古、宇多、後宇多等の御年代にわたっても、外夷がいいの征、内賊のばつなど、地に戦を見ぬ日が、果たして幾日あったろうか。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
外夷がいい取り扱いのことをあげて、安藤老中は何事も彼らの言うところに従い、日本沿海の測量を許し、この国の形勢を彼らへ教え、江戸第一の要地ともいうべき品川御殿山を残らず彼らに貸し渡し
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
外夷がいい拒絶談判の期限等にいたるまで叡聞えいぶんを欺きたてまつる。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)