“塗柄(ぬりえ)” の例文
上方風(かみがたふう)の塗柄(ぬりえ)の団扇(うちわ)を持つてパタリパタリと通る姿を月影に透(すか)し見るに、どうも飯島の娘お露(つゆ)のやうだから、新三郎は伸び上り、首を差延(さしの)べて向ふを看(み)ると女も立ち止まり
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
手に塗柄(ぬりえ)のついた馬乗提灯を下げて、その提灯に何やら書いてあるらしいが、火を消しているので分らなかった。その男はしばらくそこらを見廻していたが、やがて舌打をして
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
緋縮緬(ひぢりめん)の長襦袢(ながじゅばん)に繻子(しゅす)の帯をしどけなく締め、上方風(かみがたふう)の塗柄(ぬりえ)の団扇(うちわ)を持って、ぱたり/\と通る姿を、月影に透(すか)し見るに、何(ど)うも飯島の娘お露のようだから、新三郎は伸び上(あが)り
打水(うちみづ)のあと輕(かろ)く庭下駄(にはげた)にふんで、裳(もすそ)とる片手(かたて)はすかし骨(ぼね)の塗柄(ぬりえ)の團扇(うちわ)に蚊(か)を拂(はら)ひつ、流(なが)れに臨(のぞ)んで立(たつ)たる姿(すがた)に、空(そら)の月(つき)恥(はぢ)らひてか不圖(ふと)かゝる行(ゆ)く雲(くも)の末(すゑ)あたり俄(にわか)に暗(くら)くなる折(をり)しも
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
三十位に見える大丸髷(おおまるまげ)の年増(としま)が、其の比(ころ)流行(はや)った縮緬細工(ちりめんざいく)の牡丹燈籠を持ち、其の後から文金の高髷(たかまげ)に秋草色染の衣服を著(き)、上方風の塗柄(ぬりえ)の団扇(うちわ)を持った十七八に見える姝(きれい)な女が
円朝の牡丹灯籠 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)