四脚よつあし)” の例文
と思ふと、平常へいぜい四脚よつあしかえつて飛鳥ひちょうごとくに往来へ逃げ去つた。私も続いてうたが、もう影も見せぬ。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
肩でぶッつかるようにして横腹よこっぱらたいをあてた時、ようよう前足を上げたばかりまた四脚よつあし突張つッぱり抜く。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
色あるきぬ唐松からまつみどり下蔭したかげあやを成して、秋高き清遠の空はその後にき、四脚よつあしの雪見燈籠を小楯こだてに裾のあたり寒咲躑躅かんざきつつじしげみに隠れて、近きに二羽のみぎは𩛰あさるなど、むしろ画にこそ写さまほしきを
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
蜘蛛くも虫をいだ四脚よつあし踏み延ばし
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
夢現ゆめうつつ貴女あなたには、悪獣あくじゅうたいに見えましたでありましょう。私の心はけだものでした。夫人おくさん懺悔ざんげをします。廉平が白状するです。貴女に恥辱を被らしたものは、四脚よつあしの獣ではない、獣のような人間じゃ。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)