嘉吉かきち)” の例文
あし早くて。とっても。)(わかいがら律儀りちぎだもな。)嘉吉かきちはまたゆっくりくつろいでうすぐろいてんをくだいて醤油しょうゆにつけて食った。
十六日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
万屋安兵衛よろずややすべえ手代てだい嘉吉かきち、同じ町の大和屋李助やまとやりすけ、これらの人たちが生糸売り込みに目をつけ、開港後まだ間もない横浜へとこころざして
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
七つになる嘉吉かきちという男の子が、いつもの陣太鼓じんだいこたたいて叱られたあと、そっと千代子のそばへ来て、宵子よいこさんはもう帰って来ないのと聞いた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
誰だ、交ぜるない、嘉吉かきちとこ母親おふくろさえ、水天宮様へ日参をするというさわぎだ。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
手代の嘉吉かきちは嘉吉らしいことを言って、置いて行くあとの事を堅く寛斎に託した。中津川と神奈川の連絡を取ることは、一切寛斎の手にまかせられた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いくつものとうげえて海藻かいそうの〔数文字空白〕をせた馬にはこばれて来たてんぐさも四角に切られておぼろにひかった。嘉吉かきち子供こどものようにはしをとりはじめた。
十六日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「悪い餓鬼じゃ。嘉吉かきちや、ぬしあ、もうあっちへかっしゃいよ。」
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
仙台せんだいの大学のもんですがね。地図にはこの家がなく水車があるんです。)(ははあ。)嘉吉かきち馬鹿ばかにしたようにった。青年はすっかりれてしまった。
十六日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
万屋安兵衛よろずややすべえが手代の嘉吉かきちを連れて、美濃みのの方を立って来たのは同じ月の下旬である。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)