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唯事
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たゞごと
ふりがな文庫
“
唯事
(
たゞごと
)” の例文
「あの眼は
唯事
(
たゞごと
)
ぢやない、——寅藏の眼はお糸の姿ばかり追つかけて居るのに氣が付かないのかえ、——一國者の寅藏が
生命
(
いのち
)
までもと打込んだ眼だ」
銭形平次捕物控:159 お此お糸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
他家
(
よそ
)
の子には
唯事
(
たゞごと
)
のやうなそんなことも、
遊山
(
ゆさん
)
などの経験の乏しい私には、珍しくて嬉しくてならなかつたのです。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
いづれ
唯事
(
たゞごと
)
ならじと思へば何となく
心元
(
こゝろもと
)
なく、水汲みて
急
(
いそ
)
ぎ坊に歸り、一杖一鉢、常の如く都をさして出で行きぬ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
確、右舷が上陸する順番になつてゐたと思ひますが、それが皆、上甲板へ整列したと思ふと、今度は、突然、総員集合の喇叭が鳴りました。勿論、
唯事
(
たゞごと
)
ではありません。
猿
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
兎に角
唯事
(
たゞごと
)
でないと云うので、城内では一閑斎を始め
重立
(
おもだ
)
った武将たちが寄り/\評定を凝らしたけれども、誰も好い加減な当て推量をするばかりだから、群議まち/\で
埒
(
らち
)
が明かない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
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押
(
おし
)
開き立出たるは別人成ず彼の
番頭
(
ばんとう
)
の久八なれば千太郎は大いに
怖
(
おどろ
)
き
書
(
かき
)
置手早く
後
(
うし
)
ろへ
隱
(
かく
)
し
素知
(
そし
)
らぬ
振
(
ふり
)
して居る側へ久八は
膝
(
ひざ
)
摺寄
(
すりよ
)
せ是申し
若旦那
(
わかだんな
)
暫時
(
しばらく
)
お
待
(
まち
)
下さるべし如何にも御無念は御道理然共
爰
(
こゝ
)
は
急
(
せく
)
時ならず
曩
(
さき
)
より私し
失禮
(
しつれい
)
ながら主人の御
容子
(
ようす
)
唯事
(
たゞごと
)
ならずと
心配
(
しんぱい
)
なして
襖
(
ふすま
)
の彼方に殘らず
始終
(
しじう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「それつきりですが、こんな事を聽くと、旦那の死んだのは、
唯事
(
たゞごと
)
でないやうな氣がします」
銭形平次捕物控:165 桐の極印
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お内儀さんは、若主人の重太郎の死に樣が
唯事
(
たゞごと
)
でないといふ事を知つて居るだらうな」
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
唯
常用漢字
中学
部首:⼝
11画
事
常用漢字
小3
部首:⼅
8画
“唯”で始まる語句
唯
唯今
唯一
唯々
唯々諾々
唯一人
唯有
唯者
唯我独尊
唯物