叱言こゞと)” の例文
数度にわたってお叱言こゞとを戴きましたが、それでも愚僧は、さしたる證拠もござりませぬのに、何として告げ口を致しましょうや。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
また此が知れたらば女の要らぬ無益むだ心配、其故何時も身体の弱いと、有情やさしくて無理な叱言こゞとを受くるであらう、もう止めましよ止めましよ、あゝ痛
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
保姆ばあやのベシーに叱言こゞとを云はれて悲しくなり、また、イライザやジョンやヂョウジアァナ・リードより體質からだの弱いことに敗目ひけめを感じていぢけたりして、いやに寒い夕方、家へ歸つてゆくのは
一度いちどだつて贅澤ぜいたく叱言こゞとなどははないばかりか、じつきたいのである。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勿論もちろん叱言こゞとつたつて、かへるはうではお約束やくそくの(つらみづ)だらうけれど、仕事しごとをしてとき一寸ちよつと合方あひかたにあつてもし、うたに……「いけかへるのひそ/\ばなしいての……」と寸法すんぱふわるくない。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)