博奕ばくえき)” の例文
水戸烈公の著「明訓一班抄」にれば、徳川家康は博奕ばくえきをもってすべての罪悪の根元であるとし、はやく浜松・駿府在城の頃よりこれを厳禁した。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
スポーツの流行、ダンスの流行、旅行登山の流行、競馬其他博奕ばくえきの流行、みんな慾望の発展する現象だ。この現象には現代固有の特徴があります。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一、三笠附みかさづけ、懸賞発句募集、その外博奕ばくえきに類し私利に関する事にはたづさはるべからず。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
強盗のほかには、表面は剣術を人に教え、内実は無頼の徒を集めて博奕ばくえきを業としていた。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
○此地の人すべて篤実温厚とくじつをんこうにして人とあらそふことなく、色慾しきよくうす博奕ばくえきをしらず、酒屋なければ酒のむ人なし。むかしよりわら一すぢにてもぬすみしたる人なしといへり。じつ肉食にくしよく仙境せんきやう也。
これぞ我膽を試みるべき好き機會なるべき、自ら博奕ばくえきせでもあるべし、後に相識れる人々に語るとも、必ず咎むるものはあらじなど、自ら問ひ自ら答へて、騷ぐ胸を押し鎭めつゝ門に入りぬ。
其方儀平生へいぜい身持みもちよろしからず博奕ばくえき喧嘩けんくわこのみ其後重四郎ならびに三五郎より頼まれ候とはいへども掃部茂助藤兵衞三人の死骸を燒棄やきすて其上みぎほね利根川とねがはへ流し候段重々ぢう/\不屆の所格別かくべつの御仁惠じんゑを以て遠島ゑんたう申付る
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一、博奕ばくえきを好む者にて、近頃ふところ工合よろしからざる者。
又々博奕ばくえき引懸ひきかゝり肥前屋小兵衞方にて貰ひしかの六兩は殘らずまけて仕舞元の通りの手振てぶりとなりけれ共綿入わたいれ羽織ばかりは殘り有事故種々思案しあんなし此上は如何共詮方せんかたなければ元へ立歸るより外なしと本町二丁目なる肥前屋ひぜんや小兵衞の方へ行御免下めんくだされと店へあがるゆゑ番頭大にこま折角せつかくの御出に候へども主人小兵衞儀は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)