卒倒そっとう)” の例文
だが、どういうわけか、彼の全身はしびれてしまって、立つことができなかった。そのうちに彼は、重大な発見に、卒倒そっとうしそうになった。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
当日とうじつは、学校がっこう教師きょうしや、また家庭かてい父兄ふけいたちが、参観さんかんにやってきました。ちょうどひるごろのことです。参観者さんかんしゃ一人ひとりきゅう卒倒そっとうして、おおさわぎとなりました。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
吟味中ぎんみちゅう入牢じゅろう仰付おおせつくといい渡された時には歌麿は余りのことに、あやう白洲しらす卒倒そっとうしようとしたくらいだった。
歌麿懺悔:江戸名人伝 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
と久作さんは言ったが、家へ着いたら卒倒そっとうした理由わけ悉皆すっかり分った。郷里の大叔父さんから手紙が来て
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
勝は岡山まで汽車に乗ってさえ頭痛がするのに、東京まで何百里も乗ったら卒倒そっとうするかもしれんから、心配でならんがな。その代り東京へ行ったら、三年でも四年でも家へは戻らんつもりだ
入江のほとり (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
針の先を見ただけで真蒼まっさおになって卒倒そっとうしたこともあり、高等教育を受けた男に似合わぬと嗤われていたくらいだから、はじめのうち看護婦が一代の腕をまくり上げただけで、もう隣の部屋へやへ逃げ込み
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
きつね卒倒そっとうしそうになって、頭に手をあげて答えました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
もしもそのとき、後から声をかけてくれる者がいなかったら、女流探偵は、その場に卒倒そっとうしてしまったかもしれないのだった。
鬼仏洞事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と奥さん達が抱き止めている中に、雪子夫人は卒倒そっとうしてしまった。
秀才養子鑑 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
すると戸倉老人は卒倒そっとうせんばかりにおどろいた。チャンフー号の事件については、春木は牛丸には話したが、戸倉老人にはまだ話をしてなかったのだ。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かれは自分が卒倒そっとうの一歩手前にあることをさとった。が、どうすることもできなかった。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
多分彼女は、喜びにたえきれなくて、その場に卒倒そっとうするかもしれないと思った。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「電線!」という声に、一同は先刻さっきの感電騒ぎのあったことを思い出した。そうだ、井神陽吉が男湯の中で感電して卒倒そっとうした事件は、今の今迄、恐らく皆の脳裡のうりから忘却ぼうきゃくされていたのであろう。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今夜姉は卒倒そっとうしましてね、ぼくたちおどろきました。それから姉は、昏々こんこんと睡りつづけているのです。お医者さんも呼びましたが、手当をしても覚醒かくせいしないのです。昼間は、たいへん元気でしたがね
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
もし此処で卒倒そっとうしたらば、それで万事ばんじきゅうすだ!
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)