半畳はんじょう)” の例文
旧字:半疊
話にわくわくしていた塚原が、半畳はんじょうを入れた阿部にがなりつけた。彼はとびだして行くが早いか、その小さな子供をつき倒した。
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
半畳はんじょうのための半畳を抑え、弥次のための弥次を沈黙させただけの効果と、堪能たんのうとは、たしかに存在したものであります。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、私が半畳はんじょうを入れるのに対して、博士はあるいはそうかも知れん、と、あっさり答えて、盃を干すのであった。
ザザ虫の佃煮 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
「みなさん」男はそんな半畳はんじょうなどを無視して続けた。「あなた方が、し私の境遇にあったら一体どうしますか。これが殺さないでいられましょうか!」
白昼夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そのあとをふとはりが、すいすいとぬって、じょうぶないととおしていきます。半畳はんじょうのところへくると、半分はんぶんだけござがのこりました。かねさんはうちへかけこんで
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
いかにも艶冶えんやな桃色の中へ心までとろけいったさまで、新助の半畳はんじょうなどには耳を貸している風もない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僕は覚えず婦長の話に興奮して、半畳はんじょうを入れることも忘れてしまっていた。
或る探訪記者の話 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
余り偏痴気論を振り廻したくないが、世間には存外な贔屓の引き倒しもあるから、ただ一個条憎まれ口を叩いておこう。(無論『八犬伝』の光輝はソンナ大向うの半畳はんじょうで曇らされるのではない。)
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
誰かが半畳はんじょうを入れました。また、どっと笑い声が起った。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
わめいたのが第一番の半畳はんじょうで。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「そこでバッタリおれが出会ったわけ——」とすぐ孫兵衛が話を足すと、一座の中から半畳はんじょうが出て
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手荒い見物をして半畳はんじょうを舞台目がけて投げつけさせるほどのスリルをあたえることができる。
探偵小説の「謎」 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
半畳はんじょうを入れたり、弥次ったりするようなことは一切慎んで、それから弁慶の馬力がいよいよ強くなるのに、長唄がヘトヘトになって、それを追っかけ廻しているのもおかしいといって笑わず
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、池上がすかさず半畳はんじょうを入れました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
大奴が半畳はんじょうを入れると、神尾は苦笑にがわらいして
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
署長が又しても半畳はんじょうを入れる。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
半畳はんじょうが飛ぶ。