勃然むつ)” の例文
「うむ、たえした挨拶あいさつだな、らまた※弟きやうでえつちやさうえもんぢやあんめえとおもつてたんだつけな」おつたはすこ勃然むつとした容子ようすせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
(三左衞門頑として應ぜず。外記はいよ/\勃然むつとして、床にかざりし鎧櫃より一領の卯花縅うのはなをどしの鎧を取り出して來る。)
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
無※ばかなツ。』とわたくし勃然むつとしてしまつた。日頃ひごろから短氣たんきわたくし持病やまひ疳癪玉かんしやくだま一時いちじ破裂はれつしたよ。
と語気あらくなれば十兵衞も少し勃然むつとして、我は圓道様爲右衞門様から五重塔建ていとは命令かりませぬ、御上人様は定めし風が吹いたからとて十兵衞よべとは仰やりますまい
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あやしい手紙を辨慶べんけい讀みにして勃然むつとして鬪爭的になつたのでせう。
食ふも知ずこまりしことと咄しければ荒熊あらくまは聞て然共々々さうとも/\文右衞門めが召捕めしとられなば手前は第一番の引合にて同類どうるゐ同樣どうやうなりと云ければ辨慶は勃然むつとして其樣そんなに馬鹿にするなおらおいちやア憚りながら少しもうしくらい事など仕た事アネヘと彼是咄しあひ乞食こつじき仲間は些少ちとねたましき心より種々に氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)