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創痍
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そうい
ふりがな文庫
“
創痍
(
そうい
)” の例文
ことに
露西亜
(
ロシア
)
は日露戦争に於て受けたる
創痍
(
そうい
)
のために、
墺地利
(
オーストリア
)
がボスニャ・ヘルチェゴビナを併合せるとき、
独逸
(
ドイツ
)
に威嚇せられて
世界平和の趨勢
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
と、城壁の上に立って、りゅうりゅうと槍をふるい、当るを
仆
(
たお
)
し、自身も満身に
創痍
(
そうい
)
をあび、のちの記憶にとどまるような死に方をした。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして見れば飾磨屋は、どうかした場合に、どうかした無形の
創痍
(
そうい
)
を受けてそれが
癒
(
い
)
えずにいる為めに、傍観者になったのではあるまいか。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
氏の敏感はすぐその私に気がついたらしく
流石
(
さすが
)
に黙って立ち上った氏の顔を私が
視
(
み
)
たとき私はたしかに氏の顔に「自己満足の
創痍
(
そうい
)
。」を見た。
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
プロレタリヤ文学——そういった新らしい芸術運動の二つの
異
(
ちが
)
った潮流が、
澎湃
(
ほうはい
)
として文壇に
漲
(
みなぎ
)
って来たなかに、庸三は満身に
創痍
(
そうい
)
を受けながら
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
何
(
いずく
)
んぞ知らん、顔の
創痍
(
そうい
)
は他人の女に手を出して
失敗
(
しくじ
)
った記念で、
勁抜
(
けいばつ
)
の一文はソールズベリー卿の論文をそッくりそのまま借用したものに過ぎぬ。
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
母の死が私に与えた
創痍
(
そうい
)
も殆んどもう
癒
(
いや
)
されたように思い慣れていたこんな時分になって、突然、そんな工合にひょっくり私のうちに
蘇
(
よみがえ
)
ったその苦痛が
三つの挿話
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
衣服の方の満身の
創痍
(
そうい
)
は、もう誰かの心づくしで、すっかり癒されている。そこで道庵先生がいい気持で、胆吹のハイキングコースにとりかかったことは珍しいことです。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
妙子はつい二三日前に、
三七日
(
みなのか
)
のお
詣
(
まい
)
りに岡山在まで行って来たところなのではあるが、もうあの不幸な出来事が格別の
創痍
(
そうい
)
を心に留めていないらしく、元気になっていた。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
勿論
(
もちろん
)
游泳を学ばないものは満足に泳げる理窟はない。同様にランニングを学ばないものは大抵人後に落ちそうである。すると我我も
創痍
(
そうい
)
を負わずに人生の競技場を出られる
筈
(
はず
)
はない。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
みんな
鎧
(
よろい
)
もずたずたになり、どれもこれも満身
創痍
(
そうい
)
の姿だった、横顔を草に埋めている者もあり、仰に斃れて眼をみひらいたまま死んでいる者もあった、片腕のない死躰、足を喪ったもの
荒法師
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし魏延の軍も大損害をうけたし、王平軍もまた
創痍
(
そうい
)
満身の敗れ方だった。四日目の朝、やっと敗残の兵をまとめて
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この間のことが矢張多少は精神的に
創痍
(
そうい
)
をとどめてはいないかと考え、そう矢継早やにあとの話を持ち出すことは控えた方がよいと思っていた訳であるが、何処からか写真を送って来ているのに
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
尊氏が
創痍
(
そうい
)
の舟軍をひきつれて、ひとまずここへ寄港したのも一に円心のすすめであった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
創痍
(
そうい
)
が
癒
(
い
)
えきれないであるのだ——とは強いて
歪曲
(
わいきょく
)
していわないのであった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伊勢の長嶋門派の
殄滅
(
てんめつ
)
をうけたことなど——満身
創痍
(
そうい
)
の
傷手
(
いたで
)
だったといっていい。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
首を獲ること四百三十七級——その日もはや暮れなんとして——ようやく味方の人数にもめっきり
減
(
へ
)
りが目立ち、残る人々もすべて満身
創痍
(
そうい
)
を負って、
恙
(
つつが
)
なく歩いている人影はほとんどなかった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“創痍”の意味
《名詞》
創痍(そうい)
切り傷。傷。創傷。
被害。
(出典:Wiktionary)
創
常用漢字
小6
部首:⼑
12画
痍
漢検1級
部首:⽧
11画
“創痍”で始まる語句
創痍満身