きよう)” の例文
それは久米の発見によれば、麦酒ビイル罎の向うに置いてある杯洗はいせんや何かの反射だつた。しかし僕はなんとなしにきようを感ぜずにはゐられなかつた。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「奧樣が築土つくど八幡樣へお詣りに行つただけです——え、昨日でしたか、御神籤おみくじを引いたらきようが出たとかで、ひどくしをれてゐらつしやいましたした」
とよ大吉だいきちふ文字を見て安心はしたものゝ、大吉はかへつてきように返りやすい事を思ひ出して、またもや自分からさま/″\な恐怖きようふ造出つくりだしつゝ、非常につかれてうちへ帰つた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
このゆゑに市にちゞみを持ゆくは兵士へいし戦場せんじやうにむかふがごとし。さてちゞみの相場は大やうは穀相場こくさうばにおなじうして事は前後ぜんごす。としきようすればこくは上りちゞみは下る。年ゆたかなればちゞみは上りこくは下る。
「おみくじだよ、げん大師だいしの有難い御神籤さ。六十三番のきよう