六度むたび)” の例文
結婚して六年間に六度むたび海越えて故郷ふるさとを見にくと云ひ給へるを、思ふまゝに事する憎き婦人なりと云ひ合へる男達もあるよしにさふらふ。この君の室はわたくしなどの室よりは一階下の食堂の隣にさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
屈竟くつきやうなる壯佼わかものしたるが、くるまゆるやかに、蜘蛛手くもでもり下道したみちを、ひといへたづなやみつとおぼしく、此處こゝ彼處かしこ紫陽花あぢさゐけりとところかならず、一時ひとときばかりのあひだ六度むたび七度なゝたびであひぬ。
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)