侍座じざ)” の例文
新皇帝の即位とともに、高俅こうきゅうもまた、ちょうに入って、帝の侍座じざとなったのはいうまでもない。まりはついに九天にまで昇ったわけだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のちにはこの新しく発見した神殿のほとりに座を占めて、さながら病床に侍座じざする人のように、機械的に書物を手にとった。書物をみても、心はそのページの上に集中しないのである。
侍座じざ洞院とういん公敏きんとしが、すぐ叱りに立ったと思うと、細殿の西のひさしでの出会いがしら、北畠具行きたばたけともゆきのすがたに、ハタとぶつかった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、彼が神妙に頭をさげると、侍座じざの役僧たちはみな笑った。「……なにがお名残り惜しいものか」と、彼の退散に、胸撫で下ろしていたからだろう。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこにはさっきから、侍座じざ江橋林助えばしりんすけ渡辺悦之進わたなべえつのしんが、又四郎の臆面なしを、はらはらしながら見まもっていた。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてはや、楽府がくふの仙楽と満庭の万歳のうちに式を終って、今しも袞龍こんりょう錦衣きんいのお人影が、侍座じざ玉簪ぎょくさんや、侍従の花冠はなかんむりと共にたま椅子いすをお立ちあらんと見えたときであった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
侍座じざの一将は、京都市民のよろこびと、献上のちまきとを、光秀の前に披露して後、一同へ向って
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
剣は真陰流しんかげりゅうをきわめ、幼年から朱舜水しゅしゅんすいに師事し、また心越禅師しんえつぜんじ侍座じざして、侍ひとかどのたしなみはおさめた者とは——老公の眼からも、今は見えないほどな彼の困り方である。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正成の諫奏は、内容が内容だけに、そのおりの侍座じざ以外には、かたく口を封じられたが、それですらもうこのていどには六位ノ蔵人くろうど外記げき内記ないきあたりの者にはささやかれていた。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、いまも後醍醐は、笠置山上のせまい行宮あんぐう御座ぎょざから、侍座じざの源中納言具行へ
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
侍座じざの公卿の、ただ一人すら見えぬわびしいだたみに、胡坐あぐらし給うて、御衣ぎょいもいと古びたままなお姿だが、しかし、かつての御威厳をすこしも卑屈にはしておられず、むしろ意識的に
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて話がほかにそれると、侍座じざっていた楊曁ようきはどこかへ立ち去った。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
は士を知る。ふたりは、主人の席に侍座じざしている間に
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)