余所々々よそよそ)” の例文
旧字:餘所々々
あながかみしもを付けた四角四面の切口上きりこうじょうで応接するというわけではなかったが、態度が何となく余所々々よそよそしくて、自分では打解けてるツモリだったかも知れぬが
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
今度からは訪ねて来ても出来るだけ余所々々よそよそしくして、玄関で会って帰す程度にしたいと、自分でも思い、夫にもそう云い付けられていたのであるが、今日の場合は
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この一事のほかは人目をくべき点も無く、彼は多く語らず、又はさわがず、始終つつましくしてゐたり。終までこの両個ふたり同伴つれなりとは露顕せざりき。さあらんには余所々々よそよそしさに過ぎたればなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その時己は奥さんの目のうちの微笑が、凱歌がいかを奏するようなわらいに変じているのを見た。そして一たびえた無意味な、余所々々よそよそしい対話が又続けられた。奥さんを敵とする己の感じは愈々いよいよ強まった。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
遠慮気なく余所々々よそよそしく待遇もてなす。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あまつさえ自分一人が幸運に舌鼓したつづみを打って一つなべ突付つッついた糟糠そうこうの仲の同人の四苦八苦の経営を余所々々よそよそしく冷やかにた態度と決して穏当おだやかでなかったから
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
なぜかと云つて、猫と云ふものは皆幾分か羞渋はにかみやのところがあるので、第三者が見てゐる前では、決して主人に甘えないのみか、へんに余所々々よそよそしく振舞ふのである。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その時も光子さん「姉ちゃん、もう心配せんでもええし。くわしいこと明日あんたとこい行って相談しょうなあ」と、口ではそないいいながら、気イとがめると見えて妙に態度余所々々よそよそしいて
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
余所々々よそよそしい土地なのである。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)