他行たぎやう)” の例文
書記かきしるし南町奉行所へ立歸り大岡殿へ申立ければ早速さつそく召捕めしとるべき旨申渡されしにより同心二人すぐに橋本町へ立越たちこえところ彦兵衞は他行たぎやういたし淺草へ罷越まかりこしたる由ゆゑ途中に待受しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此ふゞきは不意ふいにあるものゆゑ、晴天せいてんといへども冬の他行たぎやうには必蓑笠みのかさを用ること我国の常なり。
「七日。(十二月。)晴。かえ他行たぎやう。」曾能子刀自の未だ名を更めてをらぬことが知られる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
此の老女をいたはつて下ださい、是れは先頃芸妓殺げいぎころしうたはれた、兼吉と云ふ私の友達の実母です、——老母おつかさん、私は、或は明日から他行たぎやうするも知れないが、少しも心置なく此の令嬢かた御信頼おたよりなさい
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
此ふゞきは不意ふいにあるものゆゑ、晴天せいてんといへども冬の他行たぎやうには必蓑笠みのかさを用ること我国の常なり。
見送る事も出來ぬ身を以て如何いかん他行たぎやうなどの出來申べきや其へんとくと御賢察下けんさつくだされ度とまことしやかにちんずる形容ありさま越前守殿見られてわざおもてやはらげられ其方は強情がうじやう者なり追て證據人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
付ざればもらうて呉る人もなし又もらちゝに行度にも初めの程は機嫌能きげんよくのませて呉し家にても今日は用事で他行たぎやうせり今朝けさから風邪ふうじや心地こゝちにてちゝの出樣も少なく成うちの子にさへ飮足らねば御氣の毒だとことわりを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)