かま)” の例文
今日の様な事を考えもしずに始めにかまわず遊ばせて置いたのがそもそもの手落ちであった等とも思い、見掛けによらず執念くして居る蕙子の気持を疑ったりして居た。
お久美さんと其の周囲 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「何を亂暴なことなさいます! 五つ六つの頑是ない子供相手に!」妻は子供を逸速く抱きかかへると激昂のあまり鼻血をたら/\流してゐる圭一郎をかまひもせず續けた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
おもうに、乗合いの蔭ではあったが、礼之進に目を着けられて、例の(ますます御翻訳で。)を前置きに、(就きましては御縁女儀、)を場処柄もかまわず弁じられようおそれがあるため
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また生命いのちかまはずにツたしうなら、かぜかうが、ふねかへらうが、那樣事そんなこと頓着とんぢやくはずぢやが、見渡みわたしたところでは、誰方どなた怯氣々々びく/\ものでらるゝ樣子やうすぢやが、さて/\笑止千萬せうしせんばん
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)