二葉ふたは)” の例文
水のおもは秋の空、みぎわに蘆の根が透く辺りは、薄濁りに濁って、二葉ふたは三葉みは折れながら葉ばかりの菖蒲あやめの伸びた蔭は、どんよりと白い。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
黄ばんだこずえゆるぐとも見えぬ先に一葉ひとは二葉ふたはがはらはら落ちる。あとはようやく助かる。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たまたまひと二葉ふたはづつ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
紙張かみばり立看板たてかんばんに、(浮世うきよなみ。)新派劇しんぱげきとあるのをた。浮世うきよなみに、ながつた枯枝かれえであらう。あらず、みづうみふゆいろどる、くれなゐ二葉ふたは三葉みは
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
濡縁越ぬれえんごしの座敷から聞え来る三味線の節の小唄の、二葉ふたは三葉みは、松の葉に軽く支えられて、流れもあえず、絹のような砂の上に漂っているのである。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
べに笹色さゝいろよそほひこらして、月光げつくわうけて二葉ふたは三葉みは、たゞべに點滴したゝごとく、みねちつつ、ふちにもしづまずひるがへる。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
赤土の広場の松の、あちこちには、人のぶらつくのも見え、谷に臨んで、茣蓙ござ毛氈もうせんを敷いた一組、二組も、色紙形に遠くながめられる。一葉ひとは二葉ふたはくれないの葉も散るが、それに乗ったのは鶏ではない。
……お月様の森の、もみじですもの、色は照りますわ。——余り綺麗だから、一葉ひとは二葉ふたは、枝のを取って来たのを——天狗がですよ。白い饅頭にさして、そのあか鳥冠とさかにしたんだって言ったんですがね。