二条ふたすぢ)” の例文
旧字:二條
しかるに初雪しよせつのち十月のころまでにこの二条ふたすぢ小流こながれ雪のため降埋ふりうめられ、流水は雪の下にあり、ゆゑ家毎いへごとくむべきほどに雪を穿うがち水用すゐようを弁ず。
東京朝日に出た『波の上』なども、新聞で毎日読んでは冗長なやうな気がするけれども、男女のもつれを二条ふたすぢはつきり出して見せたところは、凡手の及ぶ所ではない。
自他の融合 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
この四十二枚の胴片はその左右の脚を、夫々均等の間隔を保つて二条ふたすぢの糸でつなぎ合せるのだ。だから胴片は水平にひら/\とする。尾は、主に銀色で長く二つに岐れてゐる。
鱗雲 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
ちながら、すつとしろもすそ真直まつすぐ立靡たちなびいて、なかばでふくらみをつて、すぢくぼむやうに、二条ふたすぢわかれようとして、やはらかにまたつて、さつるのが、かたえ、頸脚えりあしえた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うつむける梅子の頬には二条ふたすぢ三条みすぢびんのほつれの只だ微動するを見る
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)