乳離ちばな)” の例文
地震ぢしんがあってからちゃう最早もう十一年目ねんめ……わすれもしませぬ……一ねん三百六十にちうちで、はい、其日そのひ乳離ちばなれをなされました。
夜は、乳離ちばなれの三歳になる男の子が、病的な(恐らく嬰児えいじのヒステリイであろうか)力のない声で、一晩中泣き続ける。
毒草 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
見ると、小さなを、虫らしい餌を、親はくちばしくわえているのである。笊の中には、乳離ちばなれをせぬ嬰児あかんぼだ。火のつくように泣立なきたてるのは道理である。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なるほどこれは軽くって美味うまい。今にお登和さんと婚礼して小供が出来たら乳離ちばなれ時分に必ずこの軽焼をこしらえよう。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
疫痢えきりではないでしょうか?」「いや、疫痢じゃありません。疫痢は乳離ちばなれをしない内には、——」
子供の病気:一游亭に (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
めいが連れていたのはまだ乳離ちばなれもしないほどの男の子であったが、すぐに末子に慣れて、汽車の中で抱かれたりそのひざに乗ったりした。それほど私の娘も子供好きだ。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その時彼はまだ乳離ちばなれのしたばかりの小供であった。Hさんの御弟子は彼を風呂敷ふろしきに包んで電車にせてうちまで連れて来てくれた。私はその彼を裏の物置のすみに寝かした。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大原君、ふくらんだ物が腹へ入って小さくなるから小児にいいといってもバターや焼粉を入た西洋菓子だのビスケットだのというものは乳離ちばなれの小児に極く悪い。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
乳呑児ちのみごから乳離ちばなれ以後、それから成童せいどうになるまで一々順序を追ってその食物を変えなければならん。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
小山「イヤそれはいかん。乳離ちばなれの子には禁物だ」大原「何故なぜ
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)