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中村松江
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なかむらしょうこう
どうだの、これは
別に、おいらが
堺屋から
頼まれた
訳ではないが、
何んといっても
中村松江なら、
当時押しも
押されもしない、
立派な
太夫。
鏡のおもてに
映した
眉間に、
深い八の
字を
寄せたまま、ただいらいらした
気持を
繰返していた
中村松江は、ふと、
格子戸の
外に
人の
訪れた
気配を
感じて、じッと
耳を
澄した。
ついに一
度も
来たことのない、
中村松江の
女房が、
訪ねて
来たと
聞いただけでは、
春信は、
直ぐさまその
気になれなかったのであろう。
絵の
具から
眼を
離すと、
藤吉の
顔をあらためて
見直した。