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不同
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ふどう
伸餠は
夜業に
俎を
茶の
間迄持ち
出して、みんなで
切つた。
庖丁が
足りないので、
宗助は
始から
仕舞迄手を
出さなかつた。
力のある
丈に
小六が
一番多く
切つた。
其代り
不同も
一番多かつた。
席次不同に
思ひ
々々の
座を
占めてはゐるが、
高聲に
語るもの、
笑ふものは
一人もなかつた。
僧は
皆紺麻の
法衣を
着て、
正面の
曲彔の
左右に
列を
作つて
向ひ
合せに
並んだ。
其曲彔は
朱で
塗つてあつた。