三上山みかみやま)” の例文
するともなく比良ひらみねから三上山みかみやまにかけてなん千というたまあらわれ、それがたいまつ行列ぎょうれつのように、だんだんとこちらにかってすすんでました。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
こよみのうえも忘れて来た。おおあれは三上山みかみやま、そのてまえは鏡山だな。するとここらは天智天皇が御猟みかりのあとか」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
川を隔てゝ薄桃色に禿げた雞冠山を眺め、湖水のくくれて川となるあたりに三上山みかみやま蜈蚣むかでい渡る様な瀬田の橋を眺め、月の時を思うてややひさしく立去りかねた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
絛虫さなだむしは何れ位長いものかと思って、瓶の中から出して見た。三上山みかみやま百足むかでじゃないが、全く長いものだ。室を一周回ひとまわり取巻いても未だ余ってる。絨毯が台なしになった。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
だが、あの美しい水の底には恐ろしい龍神が棲んで居るし、湖のふちにある三上山みかみやまと云うところには、その龍よりももっと大きい蜈蚣むかでが棲んで居る事を、そなたは多分知らないのだろう。
二人の稚児 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それから三上山みかみやま、近江富士ともいう、田原藤太が百足むかでを退治したところ——浅井長政の小谷おだにの城、七本槍で有名なしずたけ。うしろへ廻って見給え、これが胆吹の大岳であることは申すまでもあるまい。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それがいつごろからかあのそれ、あちらにえます三上山みかみやまに、大きなむかでがむようになりました。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「姉ちゃん、ほら、三上山みかみやまが見える。———」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そこのすいしょうをはりつめた欄干らんかんから、湖水こすいかしてすぐこうに三上山みかみやまがそびえていました。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)