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きそかいだう
馬に
乘るか、
籠に
乘るか、さもなければ
歩いて
旅をした
以前の
木曾街道の
時分には、
父さんの
生れた
神坂村も
驛の
名を
馬籠と
言ひました。
本箱をさがして、
紫のおん
姉君の、
第七帖を
出すのも
仰々しからう。……
炬燵を
辷つてあるきさうな、
膝栗毛の
續、
木曾街道の
寢覺のあたりに、
一寸はさんで。……
やがて
父さんは
伯父さんの
後に
附いて、めづらしい
初旅に
上りました。
父さんが
歩いて
行く
道を
木曽路とも、
木曾街道ともいふ
道でした。
父さんの
田舍は
木曾街道の
中の
馬籠峠といふところで、
信濃の
國の一
番西の
端にあたつて
居ました。