“なげやり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
投遣43.8%
投槍18.8%
投鎗12.5%
擲槍6.3%
放心6.3%
放擲6.3%
粗懶6.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
何アに大丈夫だ、人の娘を預って監督せずに投遣なげやりにしてはおかれん。男がこの東京に来て一緒に歩いたり何かしているのを見ぬ振をしてはおかれん。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「吹きつける雪のためにへし折られる枯枝がややともすると投槍なげやりのように襲って来た。吹きまく風にもまれて木という木は魔女の髪のように乱れ狂った」
ローマ元老院議員らのひげをむしりにゆき、デルポイの寺院を略奪し、笑いながら天に向かって投鎗なげやりを投ずる、あの高慢と馬鹿元気との混合、などがまったくそのまま彼の詩の中に見えていた。
標とはもと擲槍なげやりの如き一種の武器の名で、この武器を携帶せる標師を派出して、依頼を受けた旅行者を護衞するから、標局といふ名稱が出來たと云ふ。
支那人の妥協性と猜疑心 (旧字旧仮名) / 桑原隲蔵(著)
沈着おちついた所もなく、放心なげやりに見渡せば、総てはなやかに、にぎやかで、心配もなく、気あつかいも無く、浮々うかうかとして面白そうに見えるものの、熟々つらつら視れば、それは皆衣物きもので、躶体はだかみにすれば、見るもけがらわしい私欲
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
三四郎は此機会を利用して、丸卓まるテーブルわきを離れて、美禰子のそば近寄ちかよつた。美禰子は椅子の脊に、油気あぶらけのないあたまを、無雑作にたせて、つかれたひとの、身繕みづくろひこゝろなき放擲なげやり姿すがたである。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
収穫とりいれに関係の深い土質の比較、さては上州地方の平野に住む農夫に比べて斯の山の上の人々の粗懶なげやりな習慣なぞを——流石さすがに三人の話は、生活といふことを離れなかつたが、同じ田舎を心に描いても
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)