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とりちが
八幡樣の
裏の
渡し
場へ
出ようと
思つて、
見當を
取違へて、あちらこちら
拔け
裏を
通るうちに、ざんざ
降りに
降つて
來た、ところがね、
格子さきへ
立つて、
雨宿りをして、
出窓から
此間から
何かと
奧齒に
物の
挾まりて一々
心にかゝる
事多し、
人には
取違へもある
物、
何をか
下心に
含んで
隱しだてゞは
無いか、
此間の
小梅の
事、あれでは
無いかな、
夫れならば
大間違ひの
上なし
役人
捕違へて是迄
吟味に及びし事氣の毒の至りなり定めし身體も
弱り手足も
利まじ
然れば此儘に歸しては
當分嘸難儀なるべし依て金五兩
取せ遣はす
間是にて能々療治をなし渡世を