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としろう
「これは、
土がよくて、
日がよく
当たるから、
早く
大きくなったのだと、お
祖父さんがいっていらしたよ。」と、
年郎くんは、いいました。
こう、きよ
子さんがいったので、
年郎くんは、ついに、その
子供のそばへいって
聞いてみる
気が
心の
中に
起こったのでした。
「どのたこ?」と、きよ
子さんも、
年郎くんが、ながめている
空の
方を
見たのです。なるほど、
年郎くんの
大事にしていた六
角だこが
上がっています。
「だめよ、
年郎さん、こんなに
尾を
長くしては。」と、とうとうきよ
子さんは、しびれを
切らして、いいました。
ある
夏のこと、ちょうど
休暇が
終わりかけるころから、
年郎くんの
家のいちじゅくは、たくさん
実を
結んで、それは
紫色に
熟して、
見るからにおいしそうだったのです。
圃に
植えた
年郎くんのいちじゅくは、
日当たりがよくまた
風もよく
通ったから、ぐんぐんと
伸びてゆきました。
翌年には、もう
枝ができて、
大きな
葉が、
地の
上に
黒い
蔭をつくりました。