-
トップ
>
-
ぢよちゆう
土産物は
女中や
娘に
分配してしまつた。
彼等は
確かによろこんだ、
然し
僕は
嬉しくも
何ともない。
机の
前にマツチは
有つて、
彼は
其れを
見てゐながら、
其癖、
大聲を
上げて
小使を
呼んでマツチを
持つて
來いなどと
云ひ、
女中のゐる
前でも
平氣で
下着一つで
歩いてゐる、
下僕や、
小使を
捉へては
ト
前刻、
止せ、と
云つて
留めたけれども、
其でも
女中が
伸べて
行つた、
隣の
寐床の、
掻巻の
袖が
動いて、
煽るやうにして
揺起す。