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すひくち
ゆつくりと
然も
暇なく
手を
動かしては
時々好な
煙草を
吸うて
少し
口を
開いた
儘煙管の
吸口をこけた
頬に
當て
深い
考へにでも
惱んだ
樣に
只凝然として
居る。
煙は
口から
少しづゝ
漏れて
鼻を
傳ひて
騰る。
親爺は
刻み
烟草を
吹かすので、
手のある長い烟草盆を前へ引き付けて、
時々灰吹をぽん/\と
叩く。それが静かな
庭へ響いて
好い
音がする。代助の方は
金の
吸口を四五本
手烙の
中へ
並べた。