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じうわう
襖障子が
縱横に
入亂れ、
雜式家具の
狼藉として、
化性の
如く、
地の
震ふたびに
立ち
跳る、
誰も
居ない、
我が
二階家を、
狹い
町の、
正面に
熟と
見て、
塀越のよその
立樹を
廂に
一つ
一つがおなじやうに、
二三寸づゝ、
縱横に
間をおいて、
悠然として
流れて
通る。
日が
暮れかゝると
彼方に
一ならび、
此方に
一ならび
縦横になつて、
梅の
樹が
飛々に
暗くなる。