-
トップ
>
-
しうげん
入けれどもお熊は
祝言の夜より
癪氣發難儀なりとて
母の
側へ
寢かしお
熊は
忠八母は
清三郎と毎夜
枕を
双て一ツ
寢をなす
事人外の仕方なり
然ども又七は是を
二十代や三十代の、
未だ血の気の
生々した頃は、人に隠れて
何程泣いたか知れないよ、お前の
祖父が
昔気質ので、
仮令祝言の
盃はしなくとも、
一旦約束した上は
私も、はあ、
何うかして
居るでなからうかと
思ふだよ。
聞いてくんろさ。
女房がと
云ふと、あの
容色だ。まあ、へい、
何たら
因縁で
一所に
成つたづら、と
斷念めて、
目を
押瞑つた
祝言と
思へ。