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さんかくけい
そして、まるい
大空の
一角を、
三角形にくぎっていました。
元來岸の
柳の
根は、
家々の
根太よりも
高いのであるから、
破風の
上で、
切々に、
蛙が
鳴くのも、
欄干の
壞れた、
板のはなれ/″\な、
杭の
拔けた
三角形の
橋の
上に
蘆が
茂つて、
蟲がすだくのも
數限もない
材木を
水のまゝに
浸してあるが、
彼處へ五
本、
此處へ六
本、
流寄つた
形が
判で
印した
如く、
皆三方から
三ツに
固つて、
水を
三角形に
區切つた、あたりは
廣く、
一面に
早苗田のやうである。