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ごへんじ
「えゝ
漸くね、あなた。
一昨日の
晩歸りましてね。
夫でつい/\
御返事も
後れちまつて、まことに
濟みません
樣な
譯で」と
云つたが、
返事の
方は
夫なりにして、
話は
又安之助へ
戻つて
來た。
文中景色を叙したのはすくないが、駿河の
松野殿御返事といふ一文には
とうとう
思案に
余りまして、
私は
指導役のお
爺さんに
御相談をかけますと、お
爺さんからは、
斯んな
御返答がまいりました。——
びっくりした
私が
御返答をしようとする
間もあらせず、お
爺さんの
姿が
又々烟のように
側から
消えて
無くなって
了いました。
何やらよくは
腑に
落ち
兼ねましたが、
私はそう
御返答するより
外に
致方がないのでした。