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こめだはら
おつぎは
手を
延ばしては
卵を一つ/\に
取つて
袂へ
入れた。おつぎは
袂をぶら/\させて
危相に
米俵を
降りた。
其處にも
卵は六つばかりあつた。
なーる
程、にこやかで
頬の
膨れてゐる
所なんぞは
大黒天の
相があります、それに
深川の
福住町の
本宅は
悉皆米倉で
取囲てあり、
米俵も
積揚て
在るからですか。
おつぎは
米俵へ
登つて
其上に
低く
釣つた
竹籃の
塒を
覗いた
時、
牝雞が一
羽けたゝましく
飛び
出して
後の
楢の
木の
中へ
鳴き
込んだ。
他の
鷄も一しきり
共に
喧しく
鳴いた。