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くひころ
又は人の父を
喰殺してその父にばけて年を
歴たるに、一日その子山に入りて
桑を
採るに、
狼きたりて人の如く立
其裾を
銜たるゆゑ
斧にて狼の
額を
斫、狼にげ
去りしゆゑ家にかへりしに
此紀念塔の
建てられた
深山までは、
危險だから
誰も
行けない、
行かなければ
其樣な
證據物のある
事は
知らないで
居る。
※一行けば
忽ち
猛獸毒蛇に
喰殺されてしもうから、
死んだ
人間は
無いも
同然。
又は人の父を
喰殺してその父にばけて年を
歴たるに、一日その子山に入りて
桑を
採るに、
狼きたりて人の如く立
其裾を
銜たるゆゑ
斧にて狼の
額を
斫、狼にげ
去りしゆゑ家にかへりしに
私は
今喰殺されるのは
覺悟の
前だが、どうせ
死ぬなら
徒は
死なぬぞ、
斯く
睨合つて
居る
間に、
先方に
卯の
毛の
虚でもあつたなら、
機先に
此方から
飛掛つて、
多少の
痛さは
見せて
呉れんと
考へたので