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きふいう
彼は
今更ながら
彼の
級友が、
彼の
侮蔑に
値する
以上のある
動機から、
貴重な
時間を
惜まずに、
相國寺へ
行つたのではなからうかと
考へ
出して、
自分の
輕薄を
深く
耻ぢた。
其級友の
動作が
別に
自分と
違つた
所もない
樣なのを
見て、
彼は
益馬鹿々々しい
氣を
起した。
宗教と
關聯して
宗助は
坐禪といふ
記臆を
呼び
起した。
昔し
京都にゐた
時分彼の
級友に
相國寺へ
行つて
坐禪をするものがあつた。
當時彼は
其迂濶を
笑つてゐた。「
今の
世に……」と
思つてゐた。