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がうしやう
東雲の
太陽の
惠の、
宛然處女の
血の
如く、
爽に
薄紅なるに、
難有や、
狐とも
成らず、
狸ともならず、
紳士と
成り、
貴婦人となり、
豪商となり、
金鎖となり、
荷物と
成り、
大なる
鞄と
成る。
凡そ
幾百戸の
富家、
豪商、一
度づゝ、
此復讐に
遭はざるはなかりし。
本船は
連續に
爆裂信號を
揚げ、
非常滊笛を
鳴らし、
危難を
告ぐる
號鐘は
割るゝばかりに
響き
渡つたけれど、
海蛇丸は
音もなく、ずん/\と
接近して
來るばかりである。