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かやまけ
此家にも
學校にも
腦病の
療養に
歸國といひ
立て、
立いでしまヽ
一月ばかりを
何處に
潜みしか、
戀の
奴のさても
可笑しや、
香山家の
庭男に
住み
込みしとは。
寐屋の
燈火またヽく
影もあはれ
淋しや
丁字頭の、
花と
呼ばれし
香山家の
姫、
今の
子爵と
同じ
腹に、
双玉の
稱へは
美色に
勝を
占めしが、さりとて
兄君に
席を
越えず
甚之助とて
香山家の
次男、すゑなりに
咲く
花いとヾ
大輪にて、
九つなれども
權勢一
家を
凌ぎ、
腕白さ
限りなく、
分別顏の
家扶にさへ
手に
合はず、
佛國に
留學の
兄上御歸朝までは