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かはき
渇の
止まると
共に
次には
飢の
苦、あゝ
此樣な
事と
知つたら、
昨夜海中に
飛込む
時に、「ビスケツト」の
一鑵位いは
衣袋にして
來るのだつたにと、
今更悔んでも
仕方がない
畏まりぬと答へばかりよくして
中々持ち來らず
飢もし
渇もしたるなり先づ
冷にてよし酒だけを
其時第一に
堪難く
感じて
來たのは
渇の
苦、
茲だ
禍變じて
幸となると
言つたのは、
普通ならば、
漂流人が、
第一に
困窮するのは
淡水を
得られぬ
事で、
其爲に十
中八九は
斃れてしまうのだが