-
トップ
>
-
おくびやう
思へば
臆病の、
目を
塞いでや
歩行きけん、
降しきる
音は
徑を
挾む
梢にざツとかぶさる
中に、
取つて
食はうと
梟が
鳴きぬ。
いや最初からお
糸は
長吉よりも強かつた。
長吉よりも
遥に
臆病ではなかつた。お
糸長吉と
相々傘にかゝれて
皆なから
囃された時でもお
糸はびくともしなかつた。
診察の
時、
患者の
臆病、
譯の
解らぬこと、
代診の
傍にゐること、
壁に
懸つてる
畫像、二十
年以上も
相變らずに
掛けてゐる
質問、
是等は
院長をして
少からず
退屈せしめて