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えばうし
少いものを
唆かして、
徒労力を
折らせると
何故で
言ふのぢや。
御坊、
飛騨山の
菊松が、
烏帽子を
冠つて、
向顱巻を
為て
手伝つて、
見事に
仕上げさせたら
何とする。
祖父の
作に、
久しぶりの
話がある、と
美女の
像を
受取つて、
老爺は
天守に
胡座して
後に
残つた。
時に、
祖父が
我まゝの
佗だと言つて、
麻袋を、
烏帽子入れたまゝ
雪枝に
譲つた。
と
風に
曲んだ
烏帽子の
紐を
結直したが、
老爺の
声も
力が
無かつた。