“いなせ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
44.4%
稲瀬11.1%
鯔背11.1%
侠気5.6%
勇肌5.6%
瀟洒5.6%
生粋5.6%
競肌5.6%
5.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あの仁は風貌とこしらえが江戸末期的の感じで、それが都々逸とあいまっていい「いなせ」を感じることがありました。
随筆 寄席風俗 (新字新仮名) / 正岡容(著)
店先で癇癪かんしゃく持らしい、いなせな主が豆絞りの手拭で向こう鉢巻をして、セッセと浅蜊の殻を剥いていた。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
稲瀬いなせの松並木まで来て待っていると、毛利冠者頼隆が先に、その後から頼朝が騎馬で大勢の武者につつまれて来た。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大勢で棒を担いで並ぶのは「稲瀬いなせ川勢揃い」。
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
うしろに腰を掛けて居りました鯔背いなせの男、木綿の小弁慶こべんけい単衣ひとえもの広袖ひろそで半纏はんてんをはおって居る、年三十五六の色の浅黒い気の利いた男でございます。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
小鰭の鮨売といえば、そのころは鯔背いなせの筆頭。
顎十郎捕物帳:22 小鰭の鮨 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
これは白魚河岸のほうの床屋の職人で、二十一になる銀吉という、目のキラリと光る侠気いなせな若いだった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
侠気いなせな若い仕の声がした。阿母がでていってみると、万八の若い仕だった。金太郎武蔵の旦那が御朋輩と年忘れにきておいでなさる、すぐ飛んできて貰いたいというのだった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
小粋なモーニングに山高帽。一文字眉の、眼差の鋭い勇肌いなせ哥兄あにい。玄関の障子をガラリと引き開け、勝手へ駆け込む幸田の後ろ姿を見ると、
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
小粋なモーニングに山高帽、苦み走った一文字眉、剃立ての顎も青み渡った勇肌いなせ哥兄あにい
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
何事や起こりたると、見物は白糸のあとより、どろどろと乱れ出ずる喧擾ひしめきに、くだんの男は振り返りぬ。白糸ははじめてそのおもてを見るを得たり。渠は色白く瀟洒いなせなりき。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
道理どうれ生粋いなせだと思ったよ」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
娘も見送りながら葭簀張よしずっぱりを出ようとすると、川崎道から参りましたのは相州東浦賀の名主役石井山三郎で、連れて参った男は西浦賀の江戸屋半治えどやはんじ、ちょっと競肌いなせな男で、これは芳町よしちょうの小兼とうより深い中で、今は其の叔父の銚子屋へ預けの身の上、互に逢いたいと一心に思って居るところ、
眉の迫った、目の鋭い、細面ほそおもて壮佼わかもので、巾狭はばぜま単衣ひとえに三尺帯を尻下り、いなせやっこを誰とかする、すなわち塾の(小使)で
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
黒斜子くろななこ丁子巴ちょうじどもえの三つ紋の羽織、紺の無地献上博多の帯腰すっきりと、片手を懐に、裄短ゆきみじかな袖を投げた風采は、丈高くせぎすな肌にいなせである。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)