“粋(いなせ)” の例文
旧字:粹
黒斜子(くろななこ)に丁子巴(ちょうじどもえ)の三つ紋の羽織、紺の無地献上博多の帯腰すっきりと、片手を懐に、裄短(ゆきみじか)な袖を投げた風采は、丈高く痩(や)せぎすな肌に粋(いなせ)である。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
巾狭(はばぜま)な単衣(ひとえ)に三尺帯を尻下り、粋(いなせ)な奴(やっこ)を誰とかする、すなわち塾の(小使)で、怪! 怪! 怪! アバ大人を掏損(すりそ)こねた、万太(まんた)と云う攫徒(すり)である。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
名物と云えば、も一ツその早瀬塾の若いもので、これが煮焼(にたき)、拭掃除、万端世話をするのであるが、通例なら学僕と云う処、粋(いなせ)な兄哥(あにい)で、鼻唄を唱(うた)えばと云っても学問をするのでない。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)