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いくかい
羽はこれを
聴かず、初め江東の子弟八千を
率いて西し、
幾回の苦戦に
戦没して今は一人の残る者なし、
斯る失敗の後に至り、何の面目か
復た江東に
還りて死者の父兄を見んとて
ものにおびえるような
目つきは、
日に
幾回となく、ゲリゾン
注射や、ぶどう
糖注射や、ときには
輸血をもしなければならなかったので、そのたび
苦痛を
訴えて、
泣き
叫ぶ
事実を
語るのであります。
夫婦が
活きて
再び
天日を
仰ぐのは、
唯無事に
下まで
幾階の
段を
降りる、
其ばかり、と
思ふと、
昨夜にも
似ず、
爪先が
震ふ、
腰が、がくつく、
血が
凍つて
肉が
硬ばる。