高値たかね)” の例文
高値たかねになれてしまい、そしていつも不自由を感じているかばんだのマッチだのライターだのを見てほしくなって買ってしまうのだった。
一坪館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
製線所では割合に斤目はかりをよく買ってくれたばかりでなく、他の地方が不作なために結実がなかったので、亜麻種あまだねを非常な高値たかねで引取る約束をしてくれた。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
米價べいかはそのころ高値たかねだつたが、あへ夜討ようちをける繪圖面ゑづめんではないのであるが、まちむかつてひのき木戸きどみぎ忍返しのびがへしのへいむかつて本磨ほんみがきの千本格子せんぼんがうし奧深おくふかしづまつて
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
呂宋の壺にむやみな高値たかねをつけてくれたおかげで、たけ、八、九寸から一尺ほどの、あどけない陶物すえものの壺が、一個、銀千貫目から二千貫目に売れたので、わずか四、五日のうちに
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「こんな代物しろものでも、おれたちの手にかかれば、これだけの高値たかねに売れる」
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
といって、トムきちは、真物ほんもの相場そうばどおりに高値たかねったのでした。
トム吉と宝石 (新字新仮名) / 小川未明(著)