駿足しゅんそく)” の例文
しかし、今日こそは、拝領の駿足しゅんそくにものをいわせてみせる時と、終始、秀吉の後を離れずに飛ばしていたが、今はぜひなくそれを捨て
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
というふみである。宮へは長い手紙を書いた。そして夕霧はうまやの中の駿足しゅんそくの馬にくらを置かせて、一昨夜の五位の男を小野へ使いに出すことにした。
源氏物語:39 夕霧一 (新字新仮名) / 紫式部(著)
最新輸入の新しい型の自動車と交っては、昔ゆかしい定紋じょうもんの付いた箱馬車に、栗毛くりげ駿足しゅんそくを並べて、優雅に上品に、きしらせて来る堂上華族も見えた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
唐の貞元年中、大理評事だいりひょうじを勤めているかんという人があって、西河せいか郡の南に寓居していたが、家に一頭の馬を飼っていた。馬は甚だ強い駿足しゅんそくであった。
彼奴きゃつ、稀代の韋駄天いだてん駿足しゅんそくでござるな、はははは、それはそうと、貴殿、落とし物はござらぬかの?」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「おや、千破矢様、どうして貴方、」と渋面を造ってかしらを下げる。その時、駿足しゅんそくに流汗を被りながら、呼吸はあえて荒からぬ夕立の鼻面を取って、滝太郎は、自分もてのひらで額の髪を上げた。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
春以来、心をこめて、うて来たかいがあり、御承知の、武蔵青毛むさしあおの四歳ごま。秋にのぞんで、ひときわ駿足しゅんそくびんをあらわして来たかに見らるる。
しかし、彼の如き新進が他から出ているのに、まだ小野の道場から一名の駿足しゅんそくも出ておらぬということは、ふかく恥じる。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その駿足しゅんそくにまかせて、彼女がふたたび道を眺めたときは、もう遠い秋の夕霧のうちに影をかくしていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬のすねあしの根よりも深く泥土を穿うがって、到底、その駿足しゅんそくをあらわすことはむずかしい。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もう一年の辛抱だ。ほんとに汝の駿足しゅんそくを労すことは、一年の後にある」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、乗れる駿足しゅんそくにまかせて、その追撃は物凄いばかり急だった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)