香木かうぼく)” の例文
「此汽車は私のために香木かうぼくいて行く」こんな返電を大連へ打つた。石炭を使はないで薪を用ひるのは次の國境迄だ相である。
巴里まで (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
香木かうぼくの車を造らせるやら、象牙の椅子をあつらへるやら、その贅沢を一々書いてゐては、いつになつてもこの話がおしまひにならない位です。
杜子春 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この汽車は私のために香木かうぼくいてく」こんな返電を大連たいれんへ打つた。石炭を使はないで薪を用ひるのは次の国境迄ださうである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
當山の大黒天は、行基菩薩ぎやうきぼさつが南海に流れ寄つた天竺てんぢく香木かうぼくきざんだといふ有難い秘佛ですが、本堂の破損が甚だしく、その再建のため、當山始まつて以來、百日を限つての御開帳を行ひました。
銭形平次捕物控:274 贋金 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
わたしもとよりである。……學士がくしにも、香木かうぼくわからなかつた。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なるるる草、奇異きゐ香木かうぼく
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
香木かうぼくずゐあぶらゆし
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
香木かうぼくずゐかを
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
はなてば螢とまりぬ香木かうぼくのはしらにひとつ御髪みぐしにひとつ
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
日は香木かうぼくの戸をきざむ。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)