顔面がんめん)” の例文
旧字:顏面
この話を傍できいていた川波大尉の顔面がんめんが、急にひきつるようにこわばってきたのに、まるで気がつかないような顔をしていたのだった。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
顔面がんめんくろうるしして、くま鼻頭はなづら透通すきとほ紫陽花あぢさゐあゐながし、ひたひからあぎとけて、なが三尺さんじやくくちからくちはゞ五尺ごしやく仁王にわうかほうへふたしたはせたばかり、あまおほきさとつて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白い皮下脂肪ひかしぼうや赤い筋肉があるかと思いのほか、そこには、ごていねいにも、もう一つの顔面がんめんがあった——蜂矢探偵の手にぶらりとぶら下がったものは
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのとき夫人の右手が、のびると見る間に、硝子ガラス窓越しに、短銃ピストルが怪物に向ってうち放された。怪物は真正面から射撃されて、その顔面がんめん粉砕ふんさいされたと思いきや、平気な顔をつき出して
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのうちにどうした拍子ひょうしかその反射光はんしゃこうでもって顔面がんめんがパッと照らしだされたが、それを見ると、この黒影の人物は、かなりがっちりした骨組ほねぐみの巨人で、眼から下を黒いぬのでスッポリと覆い
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
顔面がんめんは紙のように白くなっていたであろう。手はワナワナとふるえてきた。
地獄街道 (新字新仮名) / 海野十三(著)