がお)” の例文
七兵衛もあきがおです。すばしっこいのは今にはじめぬことだが、かくまで澄まし返って、脂下やにさがっていられるとしゃくです。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
尾張町おわりちょうの角のところで、五十年輩の、あまり上品でない独逸人に出逢であって、小夜子がはずそうとするのを、何かと揶揄からかがおでどこまでも附いて来たこともあった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
がんりきの百は、この時したりがおに、ポンと自分の膝を打って、欅並木から六所明神の森をながめたものです。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
庸三は葡萄酒ぶどうしゅのコップを手にしながら、揶揄からかがおで訊いてみた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
駒井甚三郎もまた呆れがおです。この少年は宇津木兵馬でありました。駒井甚三郎と宇津木兵馬との会見は、滝の川の西洋火薬製造所以来のことでありました。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
与八が弁解を試むると、それと知ってか、知らずにか、七人の異体の知れぬ豪傑のうちの一人が、総代がお
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
昨夕の女は、旅の客の疲れも知らずがおに仕事をしていたが、今宵はまたお客をさしおいて、あちら向きで物を書いているのは、よほどさし迫った用向に違いない。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
暫くしている間に、最初にしたりがおをして出た半黒人はんくろうとも、まんざらでもない心持の純素人じゅんしろうとも、グルグルとグループの中へ捲き込まれてしまうと、中盆なかぼんが得意になって
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一座が早くも興ざめがおになったのを、そこは老巧なみその浦のなめ六が、ていよく取りつくろって
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
取捉とっつかまえた連中も少しあきがおです。いま追いかけたのは、もっと身のこなしが人間らしい男であったが、これは子供、子供のように見える大人、大人のように見える子供。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
吉原に流連いつづけしていても、朝の寒稽古にはおくれたためしがない。遊女屋の温かい蒲団ふとんから、道場の凍った板の間へ、未練会釈もなく身を投げ出す融通自在を自慢がおで話す。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そんなことを自慢がおに口の端にのぼせるわけではないが、そういったような感情さえも拙者には見られるほどに、おたがいの心は打解けて行ったのだから、四人二家族は
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
自惚うぬぼれの強い赤らがおをかがやかせて、のこのこと近づいて来るものですから、こいつ一応の挨拶もなく、突然に横合から人の談論にケチをつけ出す、無作法千万な奴だ、失敬千万な奴だ
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
古今の名文をわがものがおに清興を気取らず、かなり無邪気な子供らしい声で語るから、人をして声を呑んで泣かしむるほどの妙味はなくとも、聞いていて歯の浮くような声ではありません。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と能登守は、お松の願いの筋には深く触れないで、やや慰めがおにこう言っただけでした。しかしお松はもう、一旦切り出した勇気がついたから、その頼みの綱をはずすようなことはしません。
と弁信はうれがおで、火の方向に向いて、歩みを運びはじめました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それを一くさりやって、したりがおに歩みをうつしながら
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
与八のかおの色が少し曇ります。それを慰めがおにお松が
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さすがの南条力も、何かあきがおでありました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)