しん)” の例文
楊はしばらくその匣を撫でまわしていたが、やがて匣の上にしんが金字で彫ってあるのを見いだして、彼は笑った。
八年春三月、工部尚書こうぶしょうしょ厳震げんしん安南あんなん使つかいするのみちにして、たちまち建文帝に雲南にう。旧臣なお錦衣きんいにして、旧帝すで布衲ふとつなり。しんたゞ恐懼きょうくして落涙とどまらざるあるのみ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
李逵がじぶんの老母をい殺された怒りをそのままこの雄虎も、人間の残虐を怒ッていた。一しん、うらむが如く、かッと赤い口を裂いて、その復讐に挑んでくる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しんとほる。何をかにくまむやである。彖伝たんでんには、震来つて※〻げきげきたりとは、恐るれば福を致すなりとある。
震は亨る (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ごうごうの地鳴りは鳴りやまず、一しんへきを裂き、また、山をふるッて、このため、龍虎山の全峰はえ、信江しんこう上饒じょうじょうの水は、あふれ捲いて、ふもとを呑むかと思われるほどだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)